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特集・コラム

オーラルフレイルとインプラント 原土井病院 歯科 口腔外科 眞鍋 佳菜子

初めまして。4月より、九州大学病院より原土井病院に就職いたしました、眞鍋佳菜子と申します。
九州大学病院では主に口腔外科・インプラント治療を専門にしておりました。超高齢化社会に入った日本では今、加齢による衰えのひとつであるオーラルフレイルが注目されており、オーラルフレイル対策の選択肢としてインプラント治療もあります。今回はオーラルフレイルとインプラント治療について解説させていただきます。

オーラルフレイルとは

オーラルフレイルとは、口の機能が健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にある状態です。
咬みにくさ・食べこぼし・むせ・滑舌の低下などのオーラルフレイルの症状は、身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理/認知的フレイルなどに代表される、高齢期に生じる複数の課題が重複して生じる“口の衰え”です。早期にオーラルフレイルの兆候を評価して適切な対策を行うことにより、機能低下を緩やかにし、さらには改善する可能性があります(図1)。

図1:オーラルフレイルとは?

オーラルフレイル対策

歯の問題を改善することで、オーラルフレイルの対策が可能です。虫歯や歯周病治療、歯を抜いてしまった部分への入れ歯やインプラント治療により、口腔機能低下の予防だけでなく、改善する可能性もあります。
この度、原土井病院 歯科口腔外科でもインプラント治療を導入いたしました。

インプラント治療とは

虫歯・歯周病などで歯を抜いてしまった部分を補い回復する方法として、両隣の歯を削って被せる「ブリッジ」、取り外し式の入れ歯「インプラント」という選択肢があります。
インプラントとは、骨の中にネジを埋め込み、その上に歯を固定する治療で、咬み心地や見た目を回復することができます(図2・図3)。

図2:天然歯とインプラントの違い

図3:インプラント装着前後の口腔内

5年ごとに国民を対象に行われている歯科疾患実態調査によると、インプラント装着者の割合は年々増加しており、最新の令和4年度の調査では、インプラント装着者は全体で3.2%、年代別にみると70〜74歳が5.9%と最も高い割合でした。およそ20人に1人が受けている治療と言えます(図4)。

図4:年齢別にみたインプラント装着者の割合(%)

インプラント治療のメリットとデメリット

メリット

  • ブリッジと違い、両隣の歯を削らずに治療ができ、自分の歯と同じような安定性・機能性・見栄えを備えています。
  • 口元を気にせず自然に話すことができます。
  • 残っている歯で無理に咬むことなく、バランスよく咬むことができるようになり、入れ歯では味わえない歯ごたえのあるものが食べられます。
  • メンテナンスをきちんと行えば、長期間にわたって機能と見栄えを維持することができます。

デメリット

  • 健康保険が適応されない治療となります。
  • インプラントの支えとなる顎の骨が不足している部分は治療が困難な場合があります。
  • インプラントは一生物ではないため、やり替えが必要な場合があります

インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)

顎の骨に埋入したインプラントに、入れ歯を固定する治療法です(図5)。入れ歯が安定しやすいため、食事や会話で入れ歯が動いたり、外れたりすることが少なくなります。
また、ご自身で着脱できるため、お掃除のために取り外すことが可能です。

図5:従来の治療法とインプラントの比較

デジタル技術を利用したインプラント治療

近年、歯科の最新技術として口腔内スキャナーというものが登場してきました。当院でも口腔内スキャナーを導入しており、口腔内のスキャンデータとCTを重ね合わせることで、安全かつ最適なインプラント治療計画を立案できます。これは従来の粘土のような材料での型取りとは違い、口腔内スキャナー(カメラ)を口の中に入れて画像データとして型取りするものです。このため型取り時の不快感が改善され、診療時間が短縮されるといった利点があります (図6)。

図6:口腔内スキャナーとインプラントシミュレーション

メンテナンスについて

図7:インプラント周囲炎のレントゲン写真インプラントを長く使うためには、インプラント周囲炎予防のために、ご自分の歯よりさらに入念なお手入れが必要です(図7)。一旦治療が終了しても、良好な状態を保つため定期的に歯科医院に来院して、メンテナンス(定期健診)する必要があります。メンテナンスの頻度は患者さんのお口の状態によって異なりますが、3カ月〜半年というのが一般的です。患者さん自身では気づきにくい変化がないかチェックし、問題があれば早期に治療することで良好な状態を保つことができます。インプラント治療については、お気軽に原土井病院 歯科口腔外科までご相談ください。

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