診療について

放射線について

医療における放射線の影響

放射線と聞くと怖いような気がするのは無理もありません。日本は、広島・長崎の原爆、原子力関連事故など、恐ろしい体験の歴史があります。放射線は便益とリスクの2面性を兼ね揃えています。しかし、通常の医療で用いられている放射線の量は、放射線影響の発生する可能性がでてくる線量と比べて十分低くなっています。
医療で放射線を用いる場合には、患者さん個々に対して便益とリスクを考え、便益がリスクを大きく上回る場合にのみ放射線を利用していますので安心してください。

放射線とは

放射線には自然放射線と人工放射線があります。自然放射線は自然界に存在する放射線のことで、宇宙から地球に降りそそぐ宇宙線や、 地殻・岩石・海水などに含まれる天然放射線核種(放射線を出す物質)から放出されるものに分けられます。人工放射線は人工的に作られた放射線で、医療では放射線診断や放射線治療に利用されています。
別の分類で分けると、電磁波と粒子に分けられます。X線やγ線は電磁波の一種です。粒子線にはα線、β線、電子線などが含まれます。
放射線はものを突き抜ける能力がありますが、その種類によって、止まる性質が異なります。

アルファ線 放射線の中でも重い粒子です。空気中では数Cmしか飛べず、紙1枚でも止まります。
ベータ線 粒子線で透過力は弱く、アルミ板などの薄金属板で止めることができます。
ガンマ線やX腺 電磁波なので透過力は強いほうです。鉛や厚い鉄板で止まります。
ガンマ線やX腺 電磁波なので透過力は強いほうです。鉛や厚い鉄板で止まります。
中性子線 透過力が強く鉛や鉄も突き抜けますが、水やコンクリートで止まります。

放射線科とは

放射線医学は、1985年11月8日にレントゲン博士がX線を発見したことで生まれた学問で、放射線診断と放射線治療からなっています。
当院放射線科では各種検査(一般X線検査、CT検査、MR検査など)を放射線科医師の管理のもと診療放射線技師が中心となり検査を行い、画像診断においては放射線科医師が専門的な評価・判断を行っています。 適切な診断・治療に繋げるべく、各診療科と密接な連携を図り業務を行っています。

放射線の性質

医療に用いられている放射線は、人体の組織のX線の透過する度合いの違いを利用して写真を撮り、病気の診断や治療に役立てています。放射線の性質は大きく分けて以下の性質を持っています。

  1. 物質を透過する作用(透過作用)
  2. 物質を通過する際にエネルギーを与え、分子から電子を分離する性質(電離作用)
  3. フィルムを感光させる作用(感光作用)
  4. 物質に特有の波長の蛍光を放出する作用(蛍光作用)

放射線の単位

単位 説明
放射能の単位 Bq
ベクレル
放射線を出す能力を表す単位
(1Bqは、1秒間に1個の原子核が崩壊すること)










照射線量 C/kg
クーロン毎
キログラム
X線の強さとして、空気がイオン化される程度を表す単位
(1C/kgは、空気1kg中でX線照射により生じたイオンの総電荷が1クーロンであるときの線量)
吸収線量 Gy
グレイ
放射線のエネルギーが物質にどれだけ吸収されたかを表す単位
(1Gyは、
物体1kgあたり、1ジュールのエネルギー吸収があるときの線量)
線量当量 Sv
シーベルト
人が放射線を受けた時の影響の程度を表す単位
(Svは、Gyに線質係数をかけたもの)

ただし、Svには等価線量と実効線量の2つの意味がありますので、同じ放射線を受けても数値がそれぞれ違ってきます。何を表しているか確認したうえで、数値の意味を判断する必要があります。

日常生活における放射線(自然放射線)

放射線による被曝は特殊な場合にだけに起こるのではなく、われわれは普段の生活の中でも被曝をしています。その被曝をもたらす放射線は自然放射線と呼ばれています。
自然放射線には空気中のラドンガス、食物からのカリウム、大地や宇宙からの放射線があり、1年間に2.4mSv(世界平均)の被曝をしているといわれています。 胸のレントゲンの量に換算すると10回分以上にもなり、逆に1回の胸のレントゲンの量がいかに少ないかがわかるかと思います。

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