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特集・コラム

急性腰痛症 原土井病院 整形外科部長 久我 尚之

「腰が痛い!」「ギックリ腰で動けない!」
このような経験、されたことありませんか。腰痛の発生率は成人で30%、一生のうちで腰痛を経験するのは80%といわれています。どうして腰痛が起こるのでしょうか?
そもそも急性腰痛症(ギックリ腰)は病名ではありません。急に起こった激しい腰痛のことをギックリ腰というだけであって、その中には椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、腰椎捻挫など、さまざまな原因があります。その原因によって治療法も経過も異なるので、原因も分らずにまんぜんとマッサージなど続けるのは、場合によっては病気を悪化させてしまうこともあります。中には、胆のう炎や尿路結石といった内臓疾患で起きる腰痛もあるので、MRIや血液検査などの詳しい検査をして正しい診断のもとに正しい治療をうけないと、腰痛はよくならないでしょう。 今回は若い方に多い椎間板ヘルニアと、高齢の方に多い脊柱管狭窄症と圧迫骨折についてお話をしたいと思います。

椎間板ヘルニアの原因・症状・治療

腰骨は5つの骨が軟骨(椎間板)と靭帯で1本につながっています。体が動くたびに椎間板も動くので、20代以降になると亀裂(ひび割れ)することもあります。自然修復すればよいのですが、亀裂がひどくなると軟骨の一部が飛び出して神経を圧迫することもあります。そうなると腰痛やお尻、太ももの痛みやしびれで動くのもつらくなります。悪化すると神経麻痺で足に力が入らなくなります。
整形外科で診察を受けてMRI検査すれば診断はほぼ100%確実です。治療は神経ブロックや鎮痛剤でほとんどが治りますが、重症例では手術が必要です。重症になる前に早期の受診をすすめます。

脊柱管狭窄症の原因・症状・治療

平均寿命が伸びてお元気な高齢者が増えています。体は元気でも見えないところで骨は老化して変形します。腰骨の神経を取り巻く部分の変形がすすめば、神経の圧迫も進行します。症状は腰痛のほか、足のしびれや力の弱りで長く歩けなくなります。ただ病状はゆっくりと進行するので、気づいたときにはかなり悪化していることもしばしばです。ほとんどが年齢とともに悪くなりますので、タイミングよく手術をすれば歩けなくなることもありません。
繰り返しますが、重症化する前の病院受診が大事です。

圧迫骨折の原因・症状・治療

70代以上の方が急に腰痛で立てなくなった時には、ほとんど圧迫骨折が原因です。転倒や尻もちがきっかけですが、骨粗しょう症が酷いと自然に骨折することもあります。ずっと家の中で生活している方や以前骨折された方は骨折リスクが高いので、転倒には十分注意しなければなりません。レントゲンだけで骨折不明な場合も、MRI検査ではほぼ100%診断できます。骨折治療は安静が原則ですが、高齢者では認知症の進行が問題です。骨折を治療しながら身体・脳の機能を落とさずに維持していくためにも、高齢者医療に熟知したスタッフによるチーム医療が不可欠です。時間をかければ必ず治りますので、粘り強い治療を常に心掛けます。

さいごに

当院では、整形外科医、内科医、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士が一体となって一人ひとりの患者さんに最適な医療を提供できるように、日々取り組んでいます。
「元気で長生き」するために、ひとつしかない自分の体を、信頼できる医療サポーターと共に上手にメンテナンスしていきましょう。

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