特集・コラム
「頭痛」は国民病
頭痛は誰しもが経験したことがある、ありふれた症状です。しかし、「頭痛くらいで病院を受診するのは…」「市販の痛み止めで何とかしよう」と、長年つらい思いをしながらやり過ごしている方も多いのではないでしょうか。
実は日本人の約4割が頭痛に悩まされており、国民病ともいえます。令和4年の国民生活基礎調査によると、頭痛を自覚している人は女性に多く、さらに男女ともに働き盛りの30~50歳代に多くみられ(図1)、個人の日常生活はもちろん、社会活動的にも大きな損失となっています。頭痛には様々な種類がありますが、それぞれに適した治療をすることで症状を大きく改善し、日常生活を快適に送ることが可能となります。

あなたの頭痛の種類は?
頭痛には大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛があります(図2)。
二次性頭痛は、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など、脳や頭部の病気によって起こる頭痛です。二次性頭痛の特徴としては、次のようなものがあります。
❶今までに経験したことのない頭痛
❷突然起きた頭痛
(○日の△時や、テレビの朝ドラを見ていたとき、などはっきりと起きたときの状況が言える)
❸発熱や嘔吐を伴う頭痛
❹物が二重に見える、手足が動かしにくい、滑舌が悪くなるなどの症状を伴う頭痛
❺数日から数週間で徐々にひどくなる頭痛
これらに当てはまる場合は頭の検査が出来る病院をすぐに受診して下さい。
頭痛の大半は一次性頭痛で、代表的なものは片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛です。また、二次性頭痛の一種になりますが、痛み止めを使いすぎたことによる頭痛(薬物の使用過多による頭痛 MOH:Medication Overuse Headache の略)も頻度が多い頭痛になります。

痛み止めが頭痛を誘発する?
薬物の使用過多による頭痛(MOH)
薬物の使用過多による頭痛(MOH)とは、頭痛に対して痛み止めを使いすぎることで、かえって頭痛が起こりやすくなっている状態を指します(図3)。
痛み止めを頻回に飲む・一回の量が多くなることで、神経が痛みを感じやすくなったり、痛みの性質や場所が変化するなど頭痛が複雑化すると考えられています。MOHは市販薬を含むあらゆる痛み止めが原因となりえます。市販薬も含めて、1カ月に10日以上の頻度で痛み止めを使っている方はMOHかもしれません。MOHは元々の頭痛に対して適切な予防治療を行い、痛み止めの使用を控えることで改善が望めます。

代表的な一次性頭痛の特徴と治療法

・緊張型頭痛
一次性頭痛のなかでも最も多いタイプで、15歳以上の日本人の2割が悩んでいる頭痛です。痛みは30分から数日間続き、締め付けられるような、ズキンズキンとしない非拍動性です。後頭部を中心とした頭の両側や首筋にかけて痛みが生じ、後頭部から首、肩、背中にかけての筋肉が緊張することで起こります。
現代の生活にはかかせないスマートフォンですが、操作する際に下を向きがちになります。首の骨(頸椎)は正常では前方向に緩くカーブを描いて反っていますが、下を向くことが多いと頸椎がまっすぐになります(図5)。他にもパソコン作業が多い方などもストレートネックになりやすいですが、ストレートネックは首や背中の筋肉に負荷をかけるため、緊張型頭痛の原因となります。思い当たる方は、首回りのストレッチをする、湯船につかるなどして筋肉の緊張をほぐしましょう。治療は痛み止めや(温)湿布などが有効です。

・群発頭痛について
群発頭痛の原因についてはまだはっきりと解明されていませんが、過度の飲酒や喫煙、ホルモンバランスや気圧変化の影響などが原因ではないかと考えられています。
痛みの強さは一次性頭痛の中でも最も激しく、片側の目の奥を中心とした強い痛みが特徴です。発作が起き始めると1~2ヶ月間ほぼ毎日、一日1~数回繰り返し起こります。痛みの範囲はこめかみや額、頬、顎、歯まで広がることもあり、自律神経症状と呼ばれる目の充血や涙、鼻水・鼻づまり、発汗などの症状を伴うこともあります。
通常の痛み止めでは症状を抑えることは難しく、発作時には片頭痛にも用いるトリプタン製剤、予防として降圧薬の一種やステロイドを用いることもあります。
・片頭痛について
片頭痛は約1000万人が罹患しているとされ、男女比は約1:4で、特に30~40歳代の女性に有病率が高いことが知られています。症状としてはズキンズキンと拍動する痛みが頭の片側に起きるのが特徴です。日常生活への支障が大きく、片頭痛による労働生産性低下や欠勤により、推計で年間3600億~2兆円の社会経済的損失が生じています。
片頭痛が起こるメカニズムもはっきりと解明されていませんが、近年、最も有力視されているのが三叉神経血管説で、三叉神経は側頭部から額・頬・顎にかけて分布する最も大きな顔の神経です。ストレスや光、音、気圧の変化など様々な刺激により三叉神経が刺激されると、血管を拡張させたり炎症反応を引き起こす物質(CGRP)が放出され、血管が過度に拡張することで周囲の神経を圧迫し、頭痛を引き起こすと考えられています。
片頭痛は急性期(痛みが起きている時期)と予防の2種類の治療があります(表1)。市販の痛み止めを飲みすぎると前述したMOHに移行する恐れがあるため、頭痛に悩まされている人はセルフケアを試しつつ、病院で適切な治療を受けるようにしましょう。

最後に
慢性的な頭痛は人生の質(QOL)を損なってしまいます。「頭痛くらいで…」とためらわずに、お薬を含めて適切な治療・予防を行い、頭痛に悩まされない人生を目指しましょう。

- インフォメーション
